大は小を兼ねるとも言いますが、ことペンタブに限っては物理的に大きいものは大きく、必要に応じたスペースを確保しなければなりません。
またいくらシステム上で作業領域の調整が可能とはいえ、やはり自分の作業環境やレベルに応じた最適なモデルを選ぶのが理想です。
参考ペンタブレットのサイズ選び|ワコムタブレットサイト|Wacom
今回は、ラップトップ(ノートPC)やタブレット、スマホでの作業や、それらを持ち歩くことが多いモバイル環境メインという人におすすめな、Bluetooth接続対応Mサイズペンタブレット「XPPen Deco MW」をレビューしていきます。
Contents
XPPen Deco MW ペンタブレット インプレッション
正しくはXP-PEN(ハイフンあり)という表記が正しいのかもしれませんが、言わずと知れた日本発足、中華系のペンタブブランド。
国内においても実店舗販売されるなど、イラストレーターのみならず、その認知度はかなり高いことと思います。
今回の「Deco MW」は、2022年1月に先行リリースされていた『Deco LW』の機能をそのまま搭載小型化させたサイズバリエーションモデルです。
有線接続仕様の「Deco M」と無線接続対応の「Deco MW」があり、持ち運びしやすいコンパクト筐体に、ブラック、ブルー、グリーン、ピンクのカラーから選べる4色展開。
また、
- 同社初のスマートチップ『X3』を搭載した新型「X3 Elite スタイラスペン」付属
なのが、魅力の製品です。
スマートチップを搭載したことで、従来のものと比較して、
- より速く
- より安定して
- より精確に
描けるようになったとのこと。
センサー反応のレスポンス向上だけでなく、スプリング機構をなくしたことによる、沈み込みの低減や耐久性などにも配慮した設計となっています。
価格はお手頃で、サイズ的にもちょうどいい板タブ「Deco MW」。
ポータブルなお絵描きのお供にいかがでしょうか。
- X3スマートチップ搭載スタイラスペン付属
- 連続運転10時間超
- 無線対応軽量薄型ポータブル
- 収納性への対応が希薄
- 低グリップ性能のペン
スペック紹介
XP-Pen Deco MW Pen Tablet | |
モデル | IT850B |
カラー | ブラック/ブルー/グリーン/ピンク |
---|---|
ショートカットキー | 8 |
作業範囲 | 203.2 x 127 mm(8 " x 5 ") |
Bluetooth | ver.5.0 |
連続作動時間 | ≧10 時間 |
バッテリー容量 | 1000mAh/3.7V |
筆圧レベル | 8192レベル |
解像度 | 5080 LPI |
読取高さ | 10mm |
反応速度 | 200RPS※最大 |
ペン※付属 | X3 Elite |
傾き検知機能 | ±60° |
対応システム | Windows 7 以降, Mac OS X 10.10 以降, Android 6.0 以降, Chrome OS 88以降, Linux |
ポート | USB Type-C |
入力 | 5V ⎓ 1A |
サイズ | 259.8 x 157.8 x 8.8mm |
※取説・ショップページ・公式サイトから抜粋
XP-Pen Deco MW ペンタブレット 実機レビュー
本機に限らずXP-PENブランドは、世界中をマーケットにしているだけあって、デザイン性のあるしっかりした作りの化粧箱です。
記載されている"POWERED BY X3"が印象的です。
裏面には仕様などが記載。
因みに今回のカラーはグリーンを選択しています。
梱包にゆるみやガタツキはなく、ガッチリと固定。
梱包資材の型枠には、近年珍しいプラスチック素材の緩衝材を用いています。
【パッケージ内容】
- Deco MW ペンタブレット × 1
- X3 Eliteスタイラスペン × 1
- USB to USB-C変換アダプター × 1
- USB to Micro USB変換アダプター × 1
- USBケーブル × 1
- 替え芯 × 10※公式記載は10本、実際は備え付け込みで12本
- 替え芯抜き × 1
- ワイヤレスレシーバー × 1 ※Deco MWのみ付属
- ユーザーマニュアル × 各1 ※クイックガイド、保証書
マニュアルはもちろん日本語に対応。
日本語含め全8か国語に対応しています。
取説でも充分細かく解説されていますが、公式HPからもクイックガイドや詳細マニュアルをダウンロードできます。公式サイトではほぼ全ての国や地域、言語に対応しています。
筐体・デザイン
Deco MW ペンタブレット
筐体含めオール樹脂製。
筐体サイズは259.8 x 157.8 x 8.8mmで、ちょうど10インチぐらいのタブレットと同じぐらいのサイズ感です。
※保護シートが付いたまま撮影しています
ショートカットキーは全8つ。
押し間違いがないよう点字風に工夫が施されています。
ショートカットキー側の側面に、ストラップホール、電源ボタン、Type-Cポートを配置。
そして底面中央には、仕様や製造元、各種認証やシリアル番号のラベル、ゴム素材による4か所の滑り止めが上下左右に配置されています。※シリアル使用済みです
因みに今回のモデルは、Bluetooth接続対応機器なので、技適証明の確認もしておきました。
X3 Eliteスタイラスペン
付属のスタイラスペンは、ペン先端に向かって緩やかに太い形状で、カスタム可能な2つの物理ボタンを搭載しています。
ラバー素材(グリップ)を廃し、ペンタブ本体と同様全て樹脂設計。
そのため、同一形状の先太りペン(グリップあり・なし)と比べると重心バランスはややセンター寄りです。
実際に計測してみると、重さは約12gと、軽量に仕上げています。
芯の着脱は容易で、替え芯は全て同一形状です。
元々装着されている芯を含めると計12本。公式にも10本と記載があったので、もしかしたら梱包ミスかもしれませんが、嬉しい誤算です。
その他付属品
「Deco MW」は無線接続可能ですが、有線接続にも対応しています。
ケーブル長は約1.5m、Type-C側はL型プラグです。
その他の付属品は、USB to USB-C変換アダプター、USB to Micro USB変換アダプター、ワイヤレスレシーバーがそれぞれひとつずつ付属しています。
Micro USBの同梱はもはや必要はないと思いますが、新旧問わず数多くのデバイスと互換性を保てます。
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XPPEN Deco MW ペンタブレット 使用感・評価・感想
XP-PEN製品は、公式にてドライバや取扱説明書をダウンロードが可能です。
「Deco MW」用のソフトでは、バッテリー残量の確認の他、『エリアの設定』、『ペンの設定』、『エクスプレスキー』をカスタマイズできます。
エリアの設定では、画面・作業エリアの調整変更。
ペン設定では、物理ボタンのカスタムや筆圧感度の調整が行えます。
そしてエクスプレスキーでは、キーカスタマイズが可能です。※画像は全てデフォルト
ドライバ無しでも板タブとして問題なく使えますが、自分仕様にカスタムした方が作業効率が上がるの間違いないので、フル活用するためにもあらかじめダウンロード推奨です。
シャーペンライクなレスポンスのいい書き心地
今回ラップトップ(ノートPC)、タブレット、無線、有線でテストしています。
まず書き心地についてですが、使ってみると沈み込みが少なく感じます。
また芯はどちらかというと細めで、ストレート形状(先が太くなっていない)ということもあり、鉛筆よりシャーペンに近い感覚を受けます。
当然有線・無線問わず、遅延はなく滑らかで良好な書き心地です。
持ち運びにちょうどいいサイズ感
腕のストロークで描けると、作業範囲が少し小さく感じるかもしれませんが、筆者のようなチラシ裏の落書き程度の技量には、持ち運びはもちろん何か描くときでもちょうどいいサイズ感です。
筆者はラップトップもよく持ち歩きますが、それだけでも充分重いのに、その他のモバイルアクセサリーも合わせると、かなりの重量となります。
そこでペンタブを持ち歩くなら、(大した技術もないので)タブレットサイズが理想的。
“ペンタブは整った環境で使う”と決め込んでいたのが、「Deco MW」は、サイズ重量共に負担がないので、これからは常に持ち運ぶデバイスのひとつとなりそうです。
XP-PENならではの購入特典
XPPEN製品購入者ならご存じの通り、2019年8月16日以降にXPPenオンライン公式店舗にて対象商品を購入すると、 2D動画制作ソフト「Cartoon Animator 4」、ペイントソフト「openCanvas」や「Artrage」などが購入特典としてつきます。
使用期限付きのものもあれば永久使用可能なものもあるため、お絵描き練習用にはもってこいです。
ワコムも同様のサービスを行っていますが、ソフトの違いはあれど価格的なメリットは大いにあるので、製品購入後はチェックです。
気になった点・注意したほうがいい点
気になったのは下記3点。
- グリップがなく滑りやすい
- 収納性があまりよくない
- Bluetooth接続はPCのみ?
グリップ性があまり良くない
まず1つ目の“グリップ性”につてですが、「Deco MW」には、『X3 Elitスタイラスペン』が付属しています。
筐体・デザイン の章でも少し触れましたが、ペンは全て樹脂製で、グリップ機構はありません。
持った感触もスベスベでグリップ性はあまりよくありません。
公式にも社外にも専用のグリップは存在しないようなので、100均など代用できるものを用意した方がよさそうです。
収納性が微妙
以前レビューした「GAOMON」製の板タブ『M10K PRO』は、ペンや替え芯・芯抜き用のフェルトケース、ペンタブ用のキャリーケースが付属しています。
またペンタブ側面にペンを簡易的に格納できるなど、“セット”として使い勝手がいいです。
「Deco MW」の場合、ペンタブレットとスタイラスペン、変換アダプター×2、USBケーブル、替え芯、芯抜き、レシーバーと、付属品は多いものの収納するすべがありません。
持ち運びの際は、別途キャリーケースが必須です。
Bluetoothの接続性について
公式でも公開している通り、AndroidでBluetooth接続すると、一部動作が不安定な機種があるようです。
参考Android support | XPPen公式サイト
筆者もいくつかのデバイス(主に中華泥タブ)と、いくつかのアプリで試したところ、何度か挙動がおかしい端末がありました。
症状は、Bluetooth接続は問題なくしているが何も描けない状態。
実際ペンタブにペンを当てると、デバイスは反応(インジケーターランプが白色に点灯)していることからも、物理キーとしての認識はしています。
単純に、お絵描きアプリで使うことができませんでした。
今回使用したAndroid端末は、国内では恐らく誰も使っていない中華泥タブなので記載はしませんが、PC用イラストソフトの充実度を見ると、スマホやタブレットはサブ的な利用がいいかもしれません。
XPPen Deco MW ペンタブレット 総合評価
今回初めてXP-PEN製のモデルを試しましたが、スマートチップの恩恵か、筆圧の感度やタッチなど繊細に反応してくれる印象を受けました。
他社製においても何の不満も感じませんが、アフター含めサービスの充実度はかなり高いです。
キャリーケースに関しては、別途用意する必要はあるものの、公式でも社外でもいくらでも対応可能なので、懸念する必要はありません。
また筆者の使用環境はWindowsとAndroidのため、この両者でしか試してませんが、macOSやiOSでも問題なく使えるのが本製品のウリでもあるようです。
お絵描き素人の筆者には、Lサイズは正直大きすぎるということもありますが、「Deco MW」はお絵描き初心者や玄人のサブ用にオススメのアイテムです。
【総合評価】 | |
製品名 | XPPen Deco MW Pen Tablet |
総合おすすめ度 | 4.8 |